過去を手放すことには勇気がいる。
懐かしい過去、ほろ苦い過去
自分を許せなく感じてしまうような過去。
私たちには、思い出したら温かい気持ちになる過去と
胸が痛くなる過去がある。
過去を手放すということは、過去を忘れるということじゃない。
ただ、この痛みを手放すということ。
もう苦しまなくていい
過去に縛られなくてもいい
幸せに未来を向いていいんだと思えるということ。
傷つくことを言われた日や
居場所のなかった子供時代
どうしても忘れられない人。
思い出したときに、それが痛みや怒り、恨み、
罪悪感、コントロールできないほどの執着を生じさせるときは
「私がこう感じている相手は、一体誰だろう?」
と考えてみるといい。
私の瞑想の先生、ゲシェラ師は、
『人生を変える方法』という本の中で、こう述べている。
すべての機能するもの ——
私たちの環境や楽しみ、体、心、そして私たち自身は
刻々と変わっている。
すべては無常であり
一秒と続くものは何もない。
いま読んでいるこの本も、一刻前に読んでいた本と同じものではなく
一刻前に在った本がなくなったからこそ
こうして存在することができる。
考えてみよう。
傷つくことを言ったあの人も
あの時に傷ついた私も
今はもう変わってしまったのだということを。
あの時のあの人も、あの時の私も
本当は、もういないのだということを。
時は流れ、私たちの体と心は変わり
すべては変わり、物事は変わっていく。
あんなに憎かったあの人も、行き場のない感情も
もう、どこにもいない。
まるで、怒っていたその場所にただ空っぽの間があって
私たちの怒りが、その空間とともに消えていくかのように。
好きだったあの人ももういない。
あのときにひどいことを言ってしまった私ももういない。
もうこれ以上「悪かった」と思わなくていい。
もうこれ以上苦しまなくていい。
もうそれは、あなたではないのだから。
もうそれが、あの人ではないように。